日経新聞は1月26日、日本Microsoftが週休3日を試験的に導入し、生産性を上げたと報じました。
これは、直感的にはとてもいい取り組みだと思いますが、この話のポイントは週3日休んだとしても各従業員のタスクは変わらず、目標も変わらず、給料も変わらない、というところにあると思います。
実質的に仕事をする時間が1日分減るだけということになります。
そうなると、いやいや待てよ、それじゃあ時間が足りなくて平日に残業しないとだめじゃん!ってなりそうです。
そこで、無駄な作業をまずやめろと。無駄な会議を無くして、無駄な作業を減らして、生産性を改善すれば1日分くらい埋め合わせできますよ、と、こういうことをこの記事は伝えています。
実際にこの取り組みにあたって日本Microsoftは1つの会議の時間を30分まで、参加者は最大5人まで、というような取り決めを行ったそうです。
まずは給料維持を保証したうえで、生産性を上げざるを得ない状況を作る、と言うやり方です。
リスクも大きいですが、成功すると社員のモチベーションもきっとあがると思いますし、これはいい実験だったのではないでしょうか。
形をかえた「ベーシックインカム」とも言えそうですね。週1日分はベーシックインカムとして会社が補填します、だから1日分は休んでくださいと。
ではこうした取り組みは今後日本の企業にも広まっていくのでしょうか?
僕は、一定水準までは広まっていくと思いますが、それ以降は難しいと思います。それができるのはおそらく一部の大企業や積極的に取り組んだ中小企業に限られると思います。
まず第一に「そりゃ無茶だろ」で終わらせられてしまう。伝統的な労働環境にあるような日本の中小企業は、そんなことできるわけがないと思っています。働き方改革への対応だけでも無理だと思っている会社が大半でしょう。
その理由は、まず日経新聞も指摘しているように、労働時間に比例して給料が増えるのが日本の大多数の会社の常識となっているからです。労働時間を売っているわけですから、1日減らされるとその分給料も減ってしまいます。
これでは抵抗が強過ぎてとても週休3日は厳しいでしょう。
そこで、労働時間を売っている人に対して、標準的な週5日ベースの給料を支給して、週休3日にすると言う方法も考えられます。これなら実質的に日本Microsoftの取り組みと同じような感じになります。
労働時間ではなく、仕事の内容に値段をつける、ということですね。もう数十年前から言われているような気もしますが、これがいまだに日本の中小企業には根強く残っています。
そのためにはまずは採用する側が変わらないといけないと思います。企業側が労働時間ではなく仕事の成果に対して給料を払う、そういう文化が背景にないまま制度だけを導入しても、空中分解してしまうことは目に見えています。
ただ、目の前のどうしようもない状況を打開するにはこういう「ちょっとした劇薬」のようなものを用意したほうがいいのではないか、という思いも捨てきれないのです。なぜなら、仕事を効率化させようとして色々と業務を棚卸しても、結局は必要だから、とか言っているうちに効率化の案が換骨奪胎されてしまって大した効果がでない、というのが起こりがちなところだと思うからです。
総論賛成、各論反対とも言えますね。この壁を超えられるかどうか、これが結局は重要になってくるのではないでしょうか。