こんにちは。
消費増税がいよいよこの10月から10%になる方向ですね。野党は揃って次の参院選の公約に消費税10%への増税に反対の意向を示していますが、どうなるんでしょうね。下記のように携帯料金を引き下げさせたりしているのも増税を控えた負担増の緩和策と思われます。
消費税が増税されると、日本のGDPの約60%を占める民間最終消費支出が落ち込むため、増税は望ましくないという見解があります。
消費税が増税されるとどうなるのでしょうか。まずは過去にあった消費税の税率アップ時(5%と8%)に実際に民間消費がどうなったのか、みてみましょう。
今日の内容は以下の通りです。
- 増税後の民間最終消費支出の動きをみてみよう
- もう少し視野を拡げてみると
- まとめ
ではいきましょう。
増税後の民間最終消費支出の動きをみてみよう
下のグラフは、内閣府が公表している民間最終消費支出(実質ベース)の推移をとったものです。
(出典: 内閣府 e-Statより筆者作成)
見れば分かりますね。大きく落ち込んでいるのは、消費税の増税直後かリーマン・ショックの時のみです。
増税後に落ち込むというのは、どうやら本当のようです。では増税すると何が起こるのでしょうか。
増税すると、消費者はいままで税込108円のものを税込110円出さないと買えなくなります。すなわち、税抜金額が同じかぎり物価が上がります。
下の表は、消費者物価指数の推移をとったものです。これを見ると、1度目の消費増税があった1997年あたりから物価指数は下落を続け、2度目の消費増税のあった2014年あたりまで続いています。この間、日本経済はいわゆる「デフレ」だったんですね。
(出典:内閣府e-Statより筆者作成)
ではその前後はというと、物価指数は増加しています。これは、おそらく消費税の影響かと思われます。ちょうど1997年、2014年あたりは物価が上昇しています。
すなわち、増税後に普通に(税込みで)物価が上昇し、消費が落ち込んだという考え方でよさそうです。駆け込み需要で余計にその直前との落差が大きくなっているのが2014年でしょう。
もう少し視野を拡げてみると
ではここで、すこし別の観点から考えてみましょう。
上記の議論では、消費増税による消費の減退を恐れて反対する人がいるし、政府もそれに応じて消費減退を抑制する策を考案していると思われるという流れでした。そして実際に消費額もマクロで落ち込んだし、物価も上昇した。
ここで、民間最終消費支出が増税とリーマショックの時以外、一貫して増加し続けていることに違和感を感じた人はいるでしょうか。
実際、内閣府の資料では長期にわたって日本経済は回復してきた、という論調です。しかし、日本のGDPをドル建てでみると、全然違う絵になるのです。
下のグラフをご覧ください。
(出典:世界経済のネタ帳)
日本はバブル崩壊後、ドルベースでみるとほぼ横ばいなのに対して、中国やアメリカはずっと成長軌道を描いています。
ドルでみているので当然為替の影響は受けますが、為替も国力の一つだとすると、ここ20年近く成長していないことになります。
そういうことを考えてみると、増税云々で国内消費がしぼんで、戦後最大級の景気拡大が云々カンヌン、、という話って、根本的な話ではありません。
なぜ他の国に対して成長が劣っているのか、日本が世界の中でメシを食える国になるには何が必要なのか、そういうことを考えてほしいところです。
消費税は導入すればいいじゃないですか。それで多少民間消費が落ち込んでも、それはたいしたことのない話です。
それより心配するのは、むしろ国債の格付けのほうでしょう。
まとめ
今日のまとめです。
- 消費税の税率をあげると、物価の上昇を伴って、民間最終消費支出はほぼ確実に一時的に減少する。
- しかし、長い目でみると日本はドルベースで成長していない。
- 足元の消費税増税を議論するよりは、日本経済が今後世界でどうパフォーマンスを上げていくかを議論するべき。