こんにちは。
昨日の記事にも出てきたのですが、今日は株価の指標の代表格、PERとPBRについて述べたいと思います。
今日の内容は以下の通りです。
それではいきましょう。
そもそも株価の指標って何?
株価の指標というのは、砕けた言い方をすると「株価が高いか低いかを判断するための物差しみたいなもの」です。
例えばトヨタの株価は今日の終値ベースですと、6,581円です。
これが高いか低いかを判断したいとき、何かと比べないと何も言えないですよね。
では何と比べますか?以下が候補として挙げられます。
- 昨日より高いか低いか、過去の一定期間平均値と比べて高いか低いか(過去の株価との比較)
- 日産やホンダと比べて高いか低いか(同業他社と比べて高いか低いか)
- トヨタの1株あたり利益や1株あたり純資産と比べて高いか低いか(会社の価値を表す財務指標と比べて高いか低いか)
例えば昨日のトヨタ自動車の株価は6,604円ですから、今日の株価は昨日比でマイナス23円です。
今日は下がったなあ、、、ということが分かりますね。
また、日産の株価は今日の終値で779.2円です。トヨタと比べると株価は随分安く見えますね。
ところが株価をそのまま比較することはできません。
株価というのはあくまで「1株あたりの値段」だからです。A社は100円の株価の株を1,000株発行していて、B社は1,000円の株価の株を100株発行していたとすると、ともに時価総額は100,000円で同じになるからです。同じ大きさの会社ということになります。
株価ではなく時価総額を比べるなら、どっちが大きい価値を持っているかがわかるので、意味のある比較になります。
ちなみにトヨタの時価総額は、今日の終値ベースで21.4兆円です。一方、日産の時価総額は3.3兆円です。トヨタの方が6倍以上大きい。
これなら意味のある比較です。株価そのものを他社と比較してもそれだけではなんとも言えない、ということですね。
では最後のその会社の1株あたりの価値を表す財務数値と株価との関係はどうか?
これがPERであり、PBRなのです。
株価は「1株あたりのその企業につけられたマーケット価格」ですから、財務数値も1株あたり利益とか純資産を持ってくると、いわゆるapple to appleな比較になるわけですね。
PERとは
ではまずPERとは何でしょうか。
算式でいうと、PER = 株価 / 1株あたり利益
になります。
株価が1株あたり利益の何倍か、ということです。通常利益は年間ベースの利益を用いるので、言い換えると「株価が利益の何年分になっているか」になります。
トヨタの場合、今日の株価を前提にするとPERは8.28倍です。また、日産の場合はPERは17.93倍です。
日産は1株あたり利益の約18年分の株価が付いており、トヨタよりも大きく上回っています。別の言い方をすると、トヨタのほうが株価が利益の8倍しか付いていないので、日産に比べると割安、ということもできます。
PBRとは
次にPBRですが、こちらは算式でいうと
PBR = 株価 / 1株あたり純資産
になります。1株あたりの純資産に対して株価が何倍付いているか、という指標です。
純資産=資産ー負債なので、定義的には株主に帰属する価値を代表するものです。
なので、1株あたり純資産は理論的には株価と近似するべきなのですが、マーケットは動きますから、必ずしも一致しません。
トヨタの場合、今日の株価を前提にすると0.96倍になります。また、日産の場合は0.57倍です。
両方とも1を切っていますね。とは言ってもトヨタ株のPBRはほぼ1ですから、1株あたり純資産という物差しから見ると、理論的には妥当な株価水準にあると言っていいでしょう。
一方日産についてはPBR=0,57と、これは少し低い水準です。
トヨタと日産しか見てませんから、ホンダ、マツダはどうなっているでしょう。調べてみると、2019/5/29終値ベースでホンダのPBR=0.59、マツダは0.60となっています。
どうもトヨタだけが高いイメージで、他の大手自動車メーカーは低い水準です。まあ、これはタイミングの問題もあるでしょう。
ちょうど決算発表の時期ですから、発表内容の影響を受けている可能性が高い。
そこで決算内容をみてみると、やっぱり2019年3月期決算はトヨタの一人勝ちの様相を呈していました。
株価の指標を見ていると、こういうことにも気付きやすくなります。
業種によって大きく異なる傾向
一般的に、PERやPBRは業種によって大きく差が出る傾向があります。
下の表は東京証券取引所が公表している規模別・業種別PER、PBR一覧です。
結構業種によって差が出ていますね。銀行なんかもはやPBRは0.3になっています。銀行のPBRはゼロ金利政策や国際的な規制強化などもあって、ここ数年PBRは1を割り続けているうえに、少しずつ下がってきて2018年12月以降、ついに業種平均で0.3にまで落ち込んでいます。
なかなか将来的に利益を上げにくいところが長引く低評価の一つの要因になっていると思われます。
今日のまとめ
では、今日のまとめです。
- 株価そのものを直接比較しても高いか低いかは分からない。
- PER,PBRは株価を比較検討する際の一つの物差しになる。
- 業種によってPBR、PERは異なる傾向を示す場合が多い。
- PER,PBRを比較することで割安・割高感が掴める。