こんばんは。
米中貿易摩擦が一向に先の見えない状況ですね。
中国経済も成長が鈍化していると言われているし、一体どうなるんでしょうか。
そこで今日は中国経済がどうなっているのかについての数字を集めてみました。
主な内容は以下の通りです。
- 中国の人口推移〜実はもう人口ボーナス期が終わっている中国
- 中国経済の変質〜第二次産業から第三次産業へのシフト
- 消費経済への移行〜徐々に投資主導から国内消費主導へ
- そして成熟期へ〜主要マーケットの成熟
ではいきましょう。
中国の人口推移
下のグラフは中国の人口推移をざっくりと「働く前の人」、「働ける人」、「老人」別に表したものですが、2010年を境に、中国ではすでに「働ける人」に該当する生産年齢人口(下グラフの灰色)は減少に転じています。(出典:国連[World Population Prospects]より経産省作成データを元に筆者加工)
一般的に一国の経済規模は人口の増加に伴って増加します。これを人口ボーナスといいます。(厳密には人口構成の変化が一国の経済に良い影響を与える場合のことで、人口増加→生産年齢人口増加の流れができている場合は人口ボーナス期にある、と言えます。)
反対に、人口が減少するに伴って経済規模は縮小します。これを人口オーナスといいます。(厳密には人口構成の変化が一国の経済に悪い影響を与える場合のことで、一般的に総人口が一定水準でも生産年齢人口が減少している場合は人口オーナス期にある、と言えます。)
中国ではすでに2010年以降生産年齢人口が減少に転じ始めているので、すでに人口オーナス期に突入しています。経済規模も原則的な流れでいうと今後緩やかに縮小方向に向かう圧がかかっていくことになります。
まあ、日本ほどではないにせよ、高齢化社会になってきているということですね。
人口がたくさんいることはみんな知っているとは思いますが、すでに生産年齢人口が減少期にきているという認識を持っているひとはまだ少数派じゃないでしょうか。
中国経済の変質
次に、中国経済の変質について見ていきましょう。
一国の経済は、統計などではよく「第一次産業」(農業系)、「第二次産業」(製造業系)、「第三次産業」(サービス業系)という分類で把握されることがあります。
人類の経済発展に伴って、農業→ものづくり→サービスへと発展してきたわけですね。
なので一国の経済状況を把握する上でこの分類を使うとどの程度発達しているのかがよく分かります。
では下のグラフを見てみましょう。こちらのグラフは中国のGDPを上記の分類で分解したときの構成比をとったものです。(出典:中国国家統計局、人力資源社会保障部、CEIC database より経産省作成データを元に筆者加工)
2000年代に入ってから急激に第一次産業の割合が減少し、第3次産業の割合が増加しています。
上のグラフでは読み取れませんが、この間中国経済も歩調を合わせて急拡大してきました。
なので、このグラフの読み方としては、比率がほぼ一定になっている第二次産業、つまり製造業が強力な発射台となり、経済が拡大。それに応じて働いているワーカーたちの給料も増えていき、個人消費が活発になってサービス業も拡大。
ざっというとこういう流れがあったことが読み取れます。
消費経済への移行
ちょっと違った視点からも見てみましょう。
下のグラフは中国のGDPの内訳を、需要部門別に構成比率の推移をとったものです。(出典:中国国家統計局、CEIC databaseから経産省作成データを元に筆者加工)
さきほどのグラフではGDPを第一次、第二次、、、のように分けましたね。今回は、分けられる元は同じGDPで、それを「需要部門別に」分類して構成比率をとったものになります。
需要部門??なんじゃそれ?という方もおられるかもしれません。
そんなにきちんと理解する必要はありません。
「民間消費」は、言葉通りのイメージです。民間とはお役所とか国関係ではない、すべての主体です。普通の会社に勤めていれば、あなたの会社が買ったり作ったりしたものは全て民間消費です。
また、民間人が毎日テレビを見たりご飯を買って食べたりしていますが、これらもすべて民間消費です。
「政府消費」は、民間ではない政府が使ったり買ったりしたものです。
「総固定資本形成」・・・なにやら難しい言い回しですね。これは要するに消費ではない「投資」です。
時々、言い訳がましく「いや、これは無駄じゃない!投資だ!」みたいにいう時ないですか?消費ではなく、投資。将来のために今お金を使って、未来のリターンを狙うというのがまあ、だいたいの投資のイメージですね。
消費は今お金を使うという点では投資と同じような状態ですが、消費は買っておしまいですよね。そのあとのリターンは想定されていない。一方投資は買って終わりではなく、買ってからも関係は続き、将来に利益を上乗せして使ったお金が帰ってくる、というものです。
説明が長くなりましたが、中国経済はこれまで投資中心で、今もそうです。投資は誰がしているのか?世界中から中国に工場を作って、ものづくりしてますよね。その工場を作るというのは投資です。中国はこれまで世界中からお金を集めて世界の工場となってきたのです。
そしてグラフのブルー線の民間消費も近年、また構成比率が増加傾向にあります。
給与水準がどんどん上がって行く中で消費水準も上がってきているのでしょう。
これは徐々に投資から民間消費へと、中国経済の中身が変容してきてることを意味しています。
そして成熟期へ
さて、では民間消費としていくつか代表的なものを見てみましょう。
まずは自動車の年間販売台数です。(出典:Marklines)
中国は今や世界一の自動車販売台数を誇る世界最大のマーケットなのですが、自動車の生産台数は、実はもう昨年度対比で減少しています。
消費経済に徐々に移行している中国ですが、実際はすでに成長が頭打ちになっている分野もあり、米中貿易摩擦の影響も短期的にはあるかと思いますが、そればかりでもないのでは?実は足元で徐々に成長が衰えていっているんじゃないですか?ということですね。
今日はこの辺で。
中国の消費については引き続き調査していきたいと思います。