こんにちは。
今日は2018年12月18日に野村総合研究所が公表した純金資産保有額別の世帯数と資産規模のデータが面白いので、こちらを中心に見ていきたいと思います。
なんと、5億円以上の純金融資産保有者が8万4千世帯もいるということなんです。
ここで、「純」が付いているのは、借金を差し引いた残額ベースという意味です。
お金はたくさん持っているけど、借金も同じくらいあるよ、という人がいた場合はその人の保有額は0です。なぜなら借金があるからそれ払ったら0になっちゃうよね、ということです。
さらに、1億円以上5億円未満を見るとその数が一気に増えて、なんと118万世帯。
え、そんなにあったの?という人が多いのではないでしょうか。
お金持ちがいることは分かってはいるけども、具体的にどのくらいの資産規模の人がどのくらいいるのか、ってあんまり意識はしませんよね。
少数派だろうということくらいは分かりますが。
しかも1億円超保有している人の所有額を全部足していくと、その額がなんと300兆円にもなるということも驚きです。
300兆円と言われるといったいどれくらいの規模なんでしょうね。
ちょっと想像が難しくなりますが、こういう時は全体の数字がいくらくらいなのかをみてみましょう。
日本人の各家庭が持っているお金(金融資産)をマクロ統計でみたものが下の表です。これは日本銀行調査統計局が公表している「資金循環統計」からの抜粋です。
(出典:日銀資金循環統計より(青枠は筆者が加筆))
家計というのは日本の各家庭の全体と考えてください。そうすると、日本全体の各家庭の金融資産は1,830兆円です。いっぽう、負債(借金と考えてください)は321兆円です。
純金融資産の概念としては、これらの資産から負債を引いたものになりますので、差し引くと1,509兆円ということになります。
そうすると、日本全体の家庭で合計約1500兆円もの純金融資産があり、そのうちの300兆円は一部の富裕層が持っている合計ですということになります。
約5分の1ですね。一方富裕層の数は126万世帯です(上述の超富裕層+富裕層)。日本全体の世帯数は、こちらでみたように約5,000万世帯です。
世帯数でみると全体の約2.5%です。
以上を総括すると、家計の金融資産1,500兆円のうち5分の1となる300兆円は、総世帯数5,000万世帯のうちの2.5%に該当する126万世帯のごく一部の富裕層によって保有されている、ということが分かります。
うすうす気づいていたけど、富は偏在しているのですね。
では、そういう富裕層はどんな人たちなのか?ということも気になります。
ここで、年齢送別の貯蓄・負債額を総務省統計局が公表しています。みてみましょう。
(出典:総務省統計局 「家計調査報告」より抜粋)
これを見ると、40歳未満の世帯では金融資産の残高を金融負債の残高が上回っています。これは、住宅ローンの影響かと思われます。住宅ローンを組むと、家が手に入りますね。家は資産ではあるもののすぐに換金できる資産ではないので、このグラフの「貯蓄」の定義に当てはまりません。そのため、除外されます。
一方、家を買うために組んだ住宅ローンは金融負債なので、このグラフの負債に該当します。
なので、住宅ローンだけが負債側に出てきて、それと同等額のはずの住宅の価値は貯蓄として定義されないため、資産側はカウント対象外となっていることから、このような不均衡が生じているものと思われます。
ただし、年齢が行くにしたがって住宅ローンの残高も減ってくるので、50歳を過ぎたあたりから資産超過傾向となります。
そして、60歳以上の世帯では2,000万円以上の貯蓄がある、ということが読み取れますね。
平均でこれですから、かなり高い水準です。
みんな死ぬ前が一番金持ちなんですよね。
なんという皮肉、、、墓場にお金は持っていけないんですが、これが日本の現実なのです。