今日は前回の続きで、中国が今どうなってるの?というところについて、ファクトを少しご紹介します。
前回、中国のGDPは成長率が鈍化したとはいえ、全体としては増え続けているのだというお話をしました。
今日は、その中国経済をもう少し細かく見てみたいと思います。
その前に少し、そもそもGDPって何?というところをまず見てみましょう。
GDPは何気にいろいろと新聞に出たりしていますが、もともとはマクロ経済学で定義されている一国の経済を見るための指標です。
一般的に、GDP=国内消費+国内投資+政府支出+純輸出
となります。何やら固い表現が出てきましたが、要するに、
・国民が消費を増やせばGDPは増える
・国民が投資を増やせばGDPは増える
・政府が財政支出を増やすとGDPは増える
・輸出が増えれば(輸入が減れば)GDPは増える
と感覚的な理解をまずはしておきましょう。
では、最近海外関係で景気がいいのは何でしょうか?
「爆買い」が少し前にありましたよね。
爆買いは中国人が大挙して日本にやってきて、いろんな物品を大量に買い込んでいく現象だったかと思います。
これらは日本経済に寄与しているのでしょうか?
もちろん、寄与しています。
それらは、ホテルやレジャー部門の売上を伸ばし、国内総生産を増加させています。
下記は、日本経済新聞に掲載されていた図表で、観光に関連するGDPが大幅に伸びていることがわかります。これらはまさに、訪日外国人客が落としてくれたお金のおかげです。この中にはもちろん爆買いも含まれています(全てが爆買いではありません)。
爆買いは上記のGDPの定義に沿って言うと、「輸出の増加」として捉えられるでしょう。
(出典:日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO31555470Y8A600C1EA5000/)
では、中国側から見たらこれらはどうなるのか?
中国側からみると、これは「旅行支出」になります。旅行支出は経常収支の1項目で、輸入の1種になります。
ということは、中国にとっては経常収支のマイナス要素ということですね。
さて、ここまで見てもう一度GDPの定義をおさらいしましょう。
GDP=国内消費+国内投資+政府支出+純輸出
でしたね。
ここで、「純輸出」は「(財・サービスの)輸出 – (財・サービスの)輸入」と読むこともできます。
さらに、純輸出=財の(輸出ー輸入)+サービスの(輸出ー輸入)=貿易収支+サービス収支、と言い換えることもできます。
モノの輸出ー輸入は貿易収支ともいわれ、しばしばその統計がニュースになっています。
前置きが長くなりましたが、ここまで見ると、どうしてトランプが中国に対して貿易戦争をしかけようとしているのか、その理由が分かります。
下の表は日本経済新聞が報じたアメリカの貿易赤字の推移です。
これをみると、まずアメリカの貿易赤字の額は8000億ドル(90兆円近く)に達しています。すごい額ですね。
で、そのうちの約半分が中国なんです。
中国、けしからん!となって、それで今のような状況になっていると。(勝手な想像)
でもこの数字は、このまま鵜呑みにするべきではありません。
なぜなら、米国のメーカーが中国に製造を委託して輸入しているケースもかなり多くあると思われるからです。
iPhoneの製造を委託されている台湾のメーカーも、もともとは米国からお願いされて中国で作って、で米国にまた送ってたわけですからね。
それに関税かけるとか言い出すと、困るのは米国民です。
米国の貿易赤字の額だけを見てそれを減らそうと言うのは、自国の成長を阻害する可能性もあるのです。
今日はボリュームが少し多かったので、この辺で。
また、機を見て中国経済を見ていきたいと思います。